講師
Yohei Kawana

糖尿病・代謝・内分泌学
膵β細胞増殖を促進する臓器間神経ネットワークの解明
膵β細胞増量治療の開発
日本糖尿病学会
日本肥満学会
日本内分泌学会
私は、糖尿病専門医の背景をもったphysician scientistとして、糖尿病や肥満の病態メカニズムの解明と治療法の確立に貢献したいと考えています。
膵β細胞はヒトの膵臓の中にわずか数グラムしかありませんが、インスリンを分泌して血中のブドウ糖を細胞内に取り込ませて、食事やストレスなどによる血糖値の上昇を抑制しており、血糖恒常性の維持に必須の役割を果たします。ところが、糖尿病の患者さんでは (1型/2型ともに)、膵β細胞の量が減少または枯渇していることが知られています。したがって、膵β細胞が増殖するメカニズムを発見することは、糖尿病の根治療法の開発につながると考えられます。一方で、肥満になってもすぐには高血糖になりませんが、これは体重増加に伴って代償的に膵β細胞が増殖することによりインスリンの分泌を増加させているためであることが知られていました。以前に、私が所属する研究グループは、肥満によって肝臓に生じた変化のシグナルが、自律神経を介して脳へ、そして脳からまた自律神経を介して膵島へと伝達されることによって膵β細胞の増殖が生じるという、「臓器間神経ネットワーク」 (下図赤字) を発見しました[1, 2]。そこで、私はこの仕組みに着目して、脳と膵島を結ぶ自律神経である迷走神経 (副交感神経) をオプトジェネティクスという神経科学の手法を応用して直接刺激することにより、生体に内在する仕組みを利用して膵β細胞を増殖させることに世界で初めて成功しました (下図青字) [3]。

現在私は、この臓器間神経ネットワークにおいて、脳は肝臓から受けたシグナルをどのような仕組みで迷走神経へと伝達しているのか、迷走神経シグナルの活性化が膵島の膵β細胞へどのような仕組みで伝達されているのかを明らかにしようとしています。さらに、迷走神経刺激による膵β細胞増量治療の開発を進めています。
参考文献: