Research

講師

小林 天美(医学博士)

Ami kobayashi

研究分野

ノンコーディングRNAと神経疾患
RNA修飾
ミトコンドリア代謝
低分子蛍光イメージング

研究テーマ

ストレス応答とtRNA断片による神経膠腫の病態制御機構の解明
神経変性疾患における異常蛋白質の凝集・蓄積の分子機構解明、および標的低分子RNAに
基づく治療戦略の構築

所属学会

日本基礎老化学会
日本神経学会(神経内科専門医)
日本神経科学学会
日本神経化学学会
日本老年医学会 (老年病科専門医)
日本内科学会 (内科専門医)
日本認知症学会 (認知症専門医)

研究概要

神経変性疾患および神経腫瘍は、異常タンパク質の凝集や細胞内ストレス応答の破綻を基
盤として進展する難治性疾患ですが、その分⼦機構には未解明な点が多くあります。近
年、tRNA由来断⽚(tRNA-derived fragments: tRF)およびtRNA修飾は、ストレス応答や
細胞機能制御を担う新たなRNA分⼦群として注⽬されていますが、その病態⽣理的意義は
ほとんど明らかになっていません。私が所属していたグループは、これまでtRFがタウ蛋
⽩に直接結合し、その凝集および細胞間伝播を促進することを⾒出し、tRNA断⽚が神経
変性疾患の進展を規定する新規因⼦であることを⽰しました。さらに、tRNA FISHおよび
FISH-FRET法という独⾃技術を開発し、RNAとタンパク質の相互作⽤を細胞内で可視化
することに成功するとともに、化学修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド(2ʼ-OMe ASO)によりtRF機能を制御することで病態抑制が可能であることを実証しています。
これらの独⾃基盤を発展させ、「tRNA断⽚化の制御」という新規概念に基づき、神経変性
疾患および神経膠腫の病態形成機構を統⼀的に理解し、RNA標的治療へと展開することを
⽬指しています。

tRNA断⽚による異常タンパク質凝集・伝播の分⼦機構の解明
神経変性疾患モデルを⽤いて、tRFとタウ蛋⽩などの病的タンパク質との直接相互作⽤を
分⼦レベルで解析し、tRNA断⽚がタンパク質凝集および細胞間伝播を駆動する新たな病
態機構を明らかにします。

神経膠腫におけるtRNA修飾異常と断⽚化制御ネットワークの解明
METTL1やTRMT10AなどのtRNA修飾酵素に着⽬し、tRNA修飾異常がtRF産⽣を制御する
分⼦機構を解明するとともに、その破綻が腫瘍増殖、浸潤、治療抵抗性を誘導する新規腫
瘍進展メカニズムを明らかにします。

tRNA断⽚を標的とした⾰新的RNA治療およびバイオマーカー開発
⾼安定性アンチセンス核酸を⽤いたtRF制御により、神経変性疾患および神経膠腫の病態
制御を実現するとともに、体液中tRFを基盤とした⾮侵襲的バイオマーカーを確⽴するこ
とを⽬指します。

tRNA断⽚を「病態を規定する機能分⼦」として位置づけることで、従来のRNA研究の枠
組みを超えた新たな疾患理解を⽬指します。さらに、分⼦機構の解明から核酸医薬開発までを⼀体的に推進することで、神経疾患に対する⾰新的治療戦略の創出に貢献することを⽬指します。


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